強引男子にご用心!
「冗談に決まってます。手は毛細血管多いから流血すると派手ですけれど、5針くらいでしょ」
「って、マジにここで縫うの?」
焦る磯村さんも楽しいけれど、にんまり笑顔の水瀬はややこしい。
「私、医師免許ありますけど」
あるけれどさ、水瀬さん。
「水瀬?」
「はいはい。応急措置だけよ。ここじゃまだ設備がないしね。紹介状は大人しくだすし、後は手配してよね」
手配は総務部の出番よね。
「内線借りるわね」
「はいはい」
水瀬が大人しく応急措置している間に総務部に連絡して、磯村さんが病院に行くための手配をする。
「華子。確か企画室にも花瓶二つあったよね」
「うん。後は……社長室にあるけれど」
内線電話の受話器と、耳元を拭いてから水瀬を振り返る。
「んー。あそこのは大丈夫でしょ。とりあえずマネジメントとして回収してもらって」
「手配した。後は……」
水瀬から紹介状を渡されて、磯村さんを見た。
封筒を差しだし、
「病院行ってください」
「一人は嫌だな」
子供かい。
「行けるでしょう」
「一人だとサボるけどOK?」
そんなOK出せません。
「大丈夫です。解りやすい位置にありますから」
「よし。拉致して行くか?」
「歩いて行きましょうか」
「解ってくれて嬉しいよ」
この鬼畜が。