強引男子にご用心!
「それで、相談は……?」
目の前に座って、水瀬は足を組む。
「うん。どうやら、私は磯村さんに狙われてるらしい」
そう呟くと、彼女はたっぷり2分、私を眺めてから頭を抱えた。
「今更なの!?」
「うん。今更。ご飯食べに行くか、私食べられるか、どっちか選べって言われた」
「ほうほう」
「それまでも意地張ってる女が好みって聞いていたし、泣かせたいとかなんとか言ってた気はするけれど」
「ふむふむ」
「真面目に聞いてよ。水瀬」
「真面目にって言われてもねぇ……」
情けないような顔をされてもね。
水瀬は立ち上がると、ゆっくりお茶を淹れてから、また戻ってきて足を組む。
「確かに男って、据え膳は食べる習性あるだろうけれど、あんたは明らかに据え膳にはならないでしょうが」
「ならないね」
眼鏡にきりっと結った髪に、隙なく優等生に着こなす制服。
お局さまスタイルは、そういう対象にはなりにくいと思うの。
「まぁ、普段からきちっとしてる女の乱れる姿に興奮する男もいるけれど」
「そうなの?」
「でも、ある程度の前提があるわよ。相手に多少好意を持つって前提が」
前提……ねぇ。
「でも、磯村さんは私に好意を持っているとは思えないんだけど」
「そう?」
「そうね。潔癖症を面白がられていると思うけれど」
「うーん。私は磯村さんと話もあまりしないからなぁ」
二人で難しい顔をして、それからお互いの顔を見た。