強引男子にご用心!

「磯村さん。私と、その……セクシャルな関係になりたいの?」

キッチンカウンターに寄りかかりながらビールを飲み、難しい顔をする。

「セクシャル……とは、またお上品だが下品な質問だな」

確かに下世話な話だけど……

「そういった関係なら、あんたみたいな面倒くさい女じゃなくてもいるだろうな」

それは思うよ。
自分が面倒くさい女ってことも知っているよ。

「じゃ、じゃあ、構わなければいいじゃないですか。私は一人でいいんですし」

「いやー。あんた、一人がいいとは思ってねぇだろ」

はあ?

「過去に何回か、変な場面を見られてるが……あんた、どっちかって言ったら羨ましそうだったし」

そ、

「そんなことない! 慌てたのは確かだけど、羨ましそうって、どこからイキナリ言うわけ!?」

磯村さんはまたビールを開け、ごくごく飲みながら首を傾げる。


「……顔?」

…………顔。

「あんたきっと頭いいよな。頭はいいが、どっか抜けてる。落ち着いている時は冷静に対応するが、そうじゃない時には感情がだだ漏れ」

ニヤニヤ邪悪な笑顔を見ながら、口がポッカリ開いていたのに気がついて慌てて閉じる。

「だから、付け込めるんだけどな」

「面白がるだけなら、他の人にすればいいじゃない」

「単に面白がるだけでも、あんたみたいな面倒くさいのは選ばねぇよ」

「だから、なんなのよ!」

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