偶々、
遅れ
正月のUターンラッシュで、新幹線のホームは20時だというのに人で溢れていた。

早目に着いてしまったので、行列ができているお手洗いに並び、お土産屋でもひたすら並んで用を済ませる。

のんびりと人を掻き分け階段を上がると、目に入った電光掲示板には雪の影響で20分遅れの文字が点滅していた。


その表示を呆然と見つめ、仕方なしに喫煙所へと足を運んでみると、そこもタバコを吸う人で混雑している。

とてもこの中には入れそうもなく、手にしたタバコをもう一度コートのポケットにしまい込む。


ここでは雪は降ってはいないものの、時間が時間なので自然と身震いするほど寒い。

紺色の冬コートにグリーンのマフラーが飾りみたいで、肌を冷やす夜風は冷たかった。
< 1 / 41 >

この作品をシェア

pagetop