偶々、
「確かに、そんなおっちょこちょいな人に出会ったことはありません。って、俺は何かしら忘れますけど」


「ほら、いないじゃないですか」

顔を見合わせ笑い声をあげる2人は、苛立つ人ばかりの中で異様かもしれない。


外を出れば寒いの一言しか出なかったが、喫煙所内が若干暖房が効いているのか、暖かさで話しも弾む。

心にも余裕が出来たところで、わたしはスマホを取り出し彼に見せる。

気づいた相手は、自分のスマホを出し手の中に納めた。


「多いですよね、この機種使っている人。電車に乗っててもみんなこれですよね」

手の平の乗せたスマホに目線を向けたまま、こちらを見ているだろう彼に聞く。


一つ前の機種だった、それでもこの機種を使っている人はたくさんいる。言った様に、電車の車内を見回せば弄っている手の中にはこれがある。
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