偶々、
揃って待合室へと移動したが、案の定満員で座って休むことはできなかった。

壁にもたれかかれるだけでもマシで、背中を預ける。


「多少なりとも暖かいですね、外よりはまだいいですね」

深い息を吐いて彼は眉を顰める。その様子が気まずそうなことから長いことホームにいたのだろう。


「一体いつからホームにいたんですか?」


「…20時には着いたんで、それからずっと、鼻水と戦ってました。人混みがどうも苦手で」


「それは早いですよ、寒いじゃないですか。だけど、これじゃあどこ行ってもいっぱい人がいて疲れてしまいますよね」

わたしも人がたくさんいるような場所はあまり好きではないので、寒くてもホームにいるのはわかる気がする。


夜風が冷たくなければ、きっとわたしも彼のようにホームにいただろう。
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