偶々、
「実家も最初はいいんですけどね、3日もいればちょっとうるさいじゃないですか。早目に出なさいよ、だとか言われて出ればこれなんで。いいことないなと…。帰省ですか?」

彼は静かに話し出し目を細めて、言われるがまま早目の行動を取ったことを悔やみ、少しの沈黙の後わたしに視線を向けた。


「はい、帰省です。わたしも同じです。忘れ物ないのかとか、色々言われて早く出てきてしまいました。そういえば…言葉、訛ってないですね?この辺ですか?」

訛っていないことにふと気づいて、首を傾けて彼を見ると、大きく頷き話し始める。


「はい、ここから一駅。東京出て長いんで標準語に慣れました。こっち帰って来たらやっぱ訛りますよ」


「じゃあ、今から列車来るまで、こっちの言葉で話しませんか?」

両手を叩き合わせそう提案してみる。せっかくなのだから、名残惜しいってこともないがこちらの方言で喋ってみたかった。
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