偶々、
出入りの激しい喫煙所に再び出向いたのは20時30分。もちろん電光掲示板にもまだ表示されずにいる。


貰ったライターを手にして、タバコを口に付ける。


あの人はどうしただろうか?もう乗っただろうか?

早くにホームにいたのだから、もう行ったんだろうな。


点かなくなってしまったライターを試しに押してみた。

カチッと音がしたのと同時に小さな炎が浮かび上がる。暫く押した状態で揺らめく炎を瞳に映す。


「普通に点くじゃん…」

じゃあ、なんでさっきは点かなかったのかと、何度か消しては点け消しては点けを繰り返し、何度か振ってみたりもした。


当たり前に点くんですけど。


あの数十分前のはなんだったのだろう?風が吹いていたわけでもないのに。


1人で首を傾げているわたしも相当だけど、肝心な時にヘソを曲げるこの無能なライターも相当だ。
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