☆☆☆ 暴れキャンディ ☆☆☆
序章 あれ?私の右胸がクラスメートの男子の顔に変わってる!!
「……」
涼風茶碗子は言葉が出なかった。
明らかに大絶叫するべき場面なのだが、言葉が出なかった。
茶碗子の豊満な右の乳房が、クラスメートである、箸矢涼の顔に変わっていたというのに……。
意味不明。
時間を戻す。
とある木曜日の午後六時半。
高校二年生の茶碗子はいつも通り帰宅し、いつも通り制服を母親に投げ捨て、いつも通り脱衣所に直行した。
汗ばんだTシャツを脱ぎ、ブラジャーを外す。
雪色のパンティ一枚になった瞬間、何かどこからか視線を感じた。
視線を感じるという言葉は、一見曖昧に聴こえるが曖昧ではなく、不思議なもので人間の第六感というべきなのか、考えれば考えるほど不思議なことだ。
視線の発信源は自分の右の乳房だった。そして左の乳房へ視線を感じた。右の乳房から左の乳房へ。視線が注がれている。何か視線が。
だから茶碗子は、とりあえず右の乳房に視線を落とした。