☆☆☆ 暴れキャンディ ☆☆☆

 しかし、浮き輪みたいなものはちゃっかし付いている事に気がついた。
 同時に母の視線が右胸では無い事にも気がついた。

「お母さん! 浮き輪外すためにはカツ不要よ!」

「カツを抜いたからって急にその浮き輪を外せないでしょ?」

 ニヤニヤ笑いながら母は台所へ去って行った。
 茶碗子は、昨日も街中で十代の男の子にナンパされたという、三十七歳の若々しい母の後ろ姿を唇を噛み締めて見つめていた。
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