☆☆☆ 暴れキャンディ ☆☆☆

 「何か……絶対……凄い泡じゃない?」
 
 茶碗子の母親は口元を引きつらせながら言った。

 心配かけてはいけない。

 母親想いの茶碗子は、とっさに背泳ぎを始めた。
 ポリバケツの様な狭い浴槽である。
 当然腕を廻すたびに壁にガンガン当たる。
 それでも背泳ぎで漕ぎ続けた。

 泡を隠すために。
 母親に心配をかけないために。

 娘心の背泳ぎ。
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