☆☆☆ 暴れキャンディ ☆☆☆

 「……」

 この日も箸矢はクラスで一番早く弁当を食べ終えた。
 実際は箸矢よりも早く食べ終えたクラスメートは数人いただろう。
 しかし箸矢は一番始めに弁当の蓋を閉めて席を立ち上がったので一番だと認識したのだ。

 「……」

 伏し目がちに箸矢は静かに廊下に出ようとすぐ隣の入り口のドアに手をかけた。

 「!」

 その瞬間何か視線を感じた。
 視線を感じるという言葉は一見曖昧に聴こえるが曖昧ではなく不思議なもので人間の第六感というべきなのか考えれば考えるほど不思議なことだ。

 「……」

 箸矢は少し考えた。
 いや背中への視線の感触を確認していた。
 背中へ熱を感じる。
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