素顔のマリィ

「うぅ……、気持ち悪いぃ」

目覚めるなり、頭痛と吐き気に襲われた。

胃の辺りが腫れて、熱をもってさえいるようだ。

目の玉にグリグリとえぐられるような痛みが走る。

こりゃ、相当な二日酔いだ。

って、あれ?

わたし昨日、あれからどうしたっけ?

山下さんが帰って、飲みすぎて、酔って常務に絡んで。

トイレに立って帰ろうとしたとこまでは覚えてる。

まぁ、無事帰り着いたようだし問題ないか。

水飲んで、トイレ行って、もうひと眠りしよう!

そう思って、重い瞼をこじ開けた。

あれ? でも、ここは何処?

明らかにわたしの部屋とは違う色合いと高級感漂うインテリア。

そういえばこのベッドの寝心地もハイクラスだ。

ま・さ・か……、酔った勢いで行きずりの誰かとベッドイン?

なんかムシャクシャしてたしなぁ〜

有り得ないことじゃない。


下着はつけてる。

頭は痛いけど、身体に違和感はない、気がする。

ってことは、やってない?

それでも記憶がないので確信がもてなかった。


救いは、ここが、そこらへんのラブホじゃなくて、かなりのグレードのシティホテルらしいってこと。

この部屋に見合う男を選んだ、ということかしら?

だとしたら、なかなかわたしもやるじゃない。

でも、肝心の男は……、どこ?


「おっ、やっと起きたな」


その瞬間、身体にゾクッと寒気が走った。
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