素顔のマリィ

「西園寺くん、彼女、柳くんの友達なんですって」

「らしいな」

って、なんで常務が流加とわたしの関係を知ってるの!

わたしはこちらへ近づいてくる常務の顔を驚きのあまり凝視していた。

「怖い顔で睨まないでくれよ」

「な、なんで常務まで知ってるんですか?!」

「知ってるもなにも、あの企画展はみちゆきとうちの共催だぞ」

「えっ、そうだったんですか」

「まぁ、いつもはみちゆきの単独開催だったからな」

「あの時は、うちに予算が無くて。

西園寺くんに相談したら、じゃ、共催にしようって言ってくれてね」

「金を出して損はなかった。

この絵を描いた彼の才能は本物だって思ったよ。

聞けば、父親が柳修だっていうしね」

聞けば聞くほど、わたしは混乱して、事情を呑み込むことができない。


わたし意外のここにいるみんなが、柳流加が才能ある画家だと言っている。

彼はイギリスの何処かで、今も絵を描き続けているのだ。

わたしだけが、本当の流加をわかっていなかった?


だから置き去りにされたの?!

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