素顔のマリィ
流加の思い出を必死に消そうと、幼いわたしはわたしなりに頑張っていた。
二年の二学期は、母も心配するほど落ち込んで、夕暮れ時になると無性に悲しくなって涙が出た。
綺麗な夕焼けを眺めながら、ここに流加がいれば、なんて考えてまた落ち込んで。
恋わずらいにも似た、流加わずらい。
それでも次第に悲しみは薄れ、段々と流加のことを思い出す機会も減っていった。
学校では女子のグループにも参加して、<まりっぺ>というなんともダサい呼び名も頂戴した。
学校の休み時間は、集まって、なんということはない話で盛り上がった。
先生の悪口や、気になる男子の話。
今夜のテレビの話題や、好きなタレントの話。
わたしにとってはどうでもいい話題。
刺激も興奮もない毎日。
流加と過ごした感動と喜びの日々が、どんどん遠くへ霞んでいった。