素顔のマリィ
そのまま抱き寄せられて、口を塞がれた。
「口付けは魂の交換だ。
マリィ、心を開いて」
捻じ込まれた熱い舌がわたしを溶かしていく。
わたしはもう立っていられないくらいに彼を感じていた。
「上へ行こう」
彼に抱きかかえられるように専用エレベーターで部屋へと上がる。
そこに待っているのは、多分、わたしが今まで経験したことのない密な時間だ。
肌を重ね溶け合って、夜通し続いた魂の交換はわたしを異次元へと誘った。
「マリィ」と呼ぶ彼の声が、流加のそれとは違うとわかってはいたけれど。
呼ばれる度に疼く心が、わたしの感度を上げていく。
「あぁ……」
絶頂を越えた果てに見えたのは、動物としての自分。
その向こうに愛が見えるなら……
わたしは向こう側へ行って確かめなくてはならない。
「マリィ、僕だけを見て……」
でも……、どうしても心がついていかない。
わたしは、彼の腕に包まれながら、一人涙をながしていた。