素顔のマリィ
小学校四年になり、わたしはかなり身長が伸びた。
ちょっと早めの第二次性徴期ってやつ。
一番前だった身長が、あっという間に真ん中より後ろになった。
少し胸が膨らんできて、身体が重くなり始めた。
短かった髪はいつの間にか肩まで伸びて、わたしは母にたのんで耳の後ろで二つに結んでもらった。
勿論、可愛いピンク色のボンボン付きだ。
他の女子を真似てフリフリのスカートを履き、星やハートのキラキラしたTシャツを着た。
そうして女の子らしく装ったわたしは、自分で言うのもなんだが案外可愛かった。
男子からも、坂井は可愛いと認識されているらしく、友達伝えに、誰々君はまりっぺのことが好きらしい、なんて噂を耳にすることもあった。
だからわたしは少しだけ浮かれていたのかもしれない。
クラスで一番人気の、リトルリーグで活躍している鈴木健太を好きになってもいいかな、なんて思いだしていた。
加えて、いくつかの噂もわたしの好奇心に火を付けた。