素顔のマリィ
恋。
わたしは要に恋しているのだろうか?
「ん? マリィ、起きてたの?」
隣りで眠る要の顔をじっと見ていたら、念が通じたのか起きてしまった。
「喉が渇いたなぁ〜って」
「くくっ……、随分声出してたもんな」
「って、ヤダ! そういう言い方イヤラシイ」
「イヤラシイのはお互い様だろ?
僕は好きだな、マリィのそういうところも」
「水、飲んでくる」
わたしは全裸のまま、ベッドから抜け出した。
二人の関係は良好で、何も問題などある筈もなかったのに。
わたしの心はざわついていた。
<<ゴクッ、ゴクッ……>>
床暖の入った室内は程よく暖められていて、冷たいミネラルウォーターが喉に心地良かった。
「要もいる?」
「いや、僕はいい。
それより早く戻っておいでよ、マリィ」
少し後ろ上がりのイントネーション。
彼のマリィは流加の呼び方とは少し違う。
だから何だって言うの?