素顔のマリィ
鈴木君と一緒にリトルリーグに入っている斉藤君が、わたしのことを好きだと言った。
まぁ、男同士のボーイズトークだ。
すると鈴木君が、坂井はお前には似合わない、なんて大人びたことを言ったという。
なんで? その根拠は?
すると鈴木君は、坂井みたいに綺麗な女子には、俺みたいなカッコいい男子が似合うんだ、みたいなことを言ったらしい。
どこで仕入れた理屈だ、まるでプレイボーイみたいでしょ。
確かに鈴木君はかなりいけてるプレイボーイだったわけだけど。
って、何故かその話がまことしやかに女友達を通してわたしの耳に入ってきた。
嘘のようなホントの話。
実際、鈴木君がそう言ったかどうかより、そんな噂をされる彼とわたしに興味が湧いた。
そんな噂の二人が恋人同士になったら、どんな感じなんだろう?って。
当時のわたしは、何を勘違いしたのか、そんな妄想にキュンとしてしまったのだ。
そうよ、鈴木君に似合うのはわたしだけ! みたいな。