素顔のマリィ
型どおりのインタビューのあと、ホテルの部屋でシャワーを浴びてもらい、わたしが間に合わせにホテルの売店で買ってきたシャツに着替えてもらった。
まぁ、一応ブランド物ですが。
とりあえず一枚、インタビュー記事の横に載せるプロフィール写真が必要なのだ。
髪を乾かし、ひと括りに纏めると、懐かしい流加の瞳が現れた。
変わってない。
寧ろ変わったのはわたしの方だ。
時を経た今、目の前にいるのは、まるで昔のままの少年の瞳をした流加だった。
「お疲れさまでした」
一通りの取材を終えて、カメラマンを帰したあと、わたしはやっと流加と二人で向き合った。
懐かしすぎて言葉を失ってしまう。
わたしは吸い込まれるように流加の瞳を見つめていた。
先に口を開いたのは流加だった。
「マリィ」
「なに?」
「僕のこと恨んでたでしょ」
「どうしてそう思うの?」
「だってそういう目をしてる」
「悲しかったよ」
「ごめん」
「だって、ルカはなんにも言わずに居なくなったから」
「ごめん」
ただ謝り続ける流加を前に、わたしは涙を流していた。