素顔のマリィ
流加に会ったら、笑おうと誓っていたのに。
意思弱すぎだし。
カッコ悪いし。
化粧ハゲハげだし。
「……っく、ルカのバカ……」
「マリィ、触っていい?」
わたしの答えを待たずして、ルカの腕がわたしを抱きしめた。
「ん……、夢みたいだ。
ずっと、マリィをこうして抱きしめる夢を見てた。
あの頃は怖くて触れることさえできなかった。
大切だったんだ。
大切すぎて臆病になった」
「……っく、わたしは触れて欲しかったよ……」
「そうだね、僕達もっと触れ合っていれば良かったね」
これからでも遅くはない?
そう耳元で聞こえたのは幻想じゃなかったみたい。
「部屋、まだ使えるでしょ」
流加はわたしを抱き上げると、そのままホテルの部屋へと戻っていった。