素顔のマリィ
夢にまで見た流加腕の中。
熱い吐息の向こうで、流加の瞳がわたしを見つめている。
「マリィ」
わたしをそう呼んで良いのはあなただけ。
一つに解け合う身体と身体。
瞼の裏には、青い空。
君と見つめたあの青い空が広がっていた。
「受賞作、観てくれた?」
「うん、写真でだけどね」
「あぁ、あの絵はまだ当分日本には戻ってこれないんだ。
残念だな、君に一番観てもらいたかったのに」
「あれ、わたしでしょ」
「もちろん」
「みて直ぐわかったよ」
「僕の中のマリィを僕はずっと描き続けているんだ。
あ、今度アトリエにおいでよ。
そこにはもっと沢山のマリィがいる。
驚かないで、ちょっと変な絵もあるから」