素顔のマリィ

大迫はわたしの頭に手を置くと、ヨシヨシと泣く子をあやす様に撫でてくれた。

多分わたしは泣いていたのだと思う。

「いいか、お前はまだ15だ。完成途中のガキだ。ガキに自分らしさが早々わかってたまるか!俺だってまだわからねぇのに」

「えっ、そうなの?」

「当たり前だ。人生八十年。死ぬまで自分探求の道は続くんだ。

だから焦らなくていい。

お前はお前の思った通りに生きればいい。

やりたいことをやって、笑って、泣いて。

失敗も成功も、お前の生きる糧となる。

だから……」

「だから?」

「その無駄な背伸びはやめろ。

お願いだから、以前の坂井真理に戻ってくれ!

俺が居たたまれない」

大迫の手が、わたしの頭をガシリと掴んだ。
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