素顔のマリィ

それから急きたてられるように高校受験が始まった。

わたしが不良を演じていたのはたかだか数ヶ月。

遅れを取り戻すのにさして時間はかからなかった。

わたしは予定通りの志望校に無事合格し、卒業を迎えた。

卒業式、参列する教師の中に大迫の姿は無かった。

あれから間もなく、彼は学校を去ったのだ。

「俺にはやっぱり教師は向いてねぇ。

また放浪して絵でも描くよ。

マリィに見せても恥かしくない絵を描くことが目下最大の目標だな。

俺の自分探しにつき合わせて悪かった。

いつかまた、どこかで会える日を楽しみにしてる」


わたしの大事な人は、いつも突然わたしの前から消えてしまう。

「じゃぁな、マリィ」

彼もわたしのことを最後にマリィと呼んだんだ。












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