素顔のマリィ
わたしのサポートには宮古先輩がついてくれた。
「はぁい、ダッシュ」
彼女の合図でわたしは全力疾走でトラックを駆ける。
先輩はわたしの300のタイムをストップウォッチで測る。
「はぁい、200ジョグして。ダッシュはもう少し早めに。足上げて」
ほぼ一対一で練習に付き添ってくれる彼女に、わたしは従うしかなかった。
「お疲れさまぁ〜」
今日も辛い練習が終わった。
気ままに走ることを愛して止まなかったわたしが、こんなに真剣に走ることに取り組むなんて。
驚きと同時に、いつまで続くのか、自分でも自信が持てなかった。
「坂井さん、マッサージ、してあげよっか?」
少し息が上がってブルーになったわたしの様子を心配したのか、宮古先輩が声をかけてくれた。
「えっ、いいですよ。そこまで甘えられません。
なんか、練習も付きっ切りで見てもらって、迷惑かけてばっかだし」
「あら、いいのよ。わたしが好きでやってることだもん。それに坂井さん、こういう本格メニューの練習、初めてでしょ」
「えぇ、まぁ」
「なら、慣れるまでサポートするのはマネージャーとしての役目だもの。気にしないで」
「でも……」