素顔のマリィ
二人が付き合っている、と知ったのは、それから間もなくしてからだった。
同校出身の二人は、入学当時から公認の仲で。
宮古先輩も1年からマネージャーとして陸上部に席を置いていたそうだ。
彼女の怪我に林先輩が関係しているとかしていないとか。
色々噂はあったけど、わたしの目の前の二人は、支えあう極普通のカップルで。
先輩への恋心が募るほどに苦しくて、何度か陸上部を止めようと思ったのだけれど。
「お前が何をみつけようと思ってるのかはわからんが、中途半端なままじゃ、結局何にも見つけられんぞ」
先輩は何故か全てを見通したように、わたしの気持ちを封印させた。
先輩は、追いかけたい、わたしが流加の次にそう思った人。
先輩、わたしは貴方に近づけましたか?
走ることを通してしか関わることの出来なかった、先輩とわたし。
宮古先輩といつまでもお幸せに。
そうして、わたしの叶わぬ恋は、先輩の卒業と共に幕を閉じた。