素顔のマリィ
「僕とマリィの重ねた年月は?」
「たった数ヶ月だよ」
「数ヶ月?」
「そう、わたし達が一緒にいたのは数ヶ月」
「それは違う」
「何が?」
「僕はマリィといつも一緒にいたよ」
「嘘言わないで」
「嘘なんてついてない」
「ルカはずっとアメリカにいたじゃない」
「離れていても、いつも僕は君のことを想っていたよ」
「またまた……、それはアメリカ流のくどき文句ですか?」
「アメリカ流?」
「そう」
「マリィ、もしかして君は自分に自信がないの?」
「自信?
そんなものあるわけないじゃん。
だって、いつもわたしの大切な人はわたしから離れていく。
きっとそれは、わたしに魅力がないから。
そんなわたしに自信を持て、っていう方が無理でしょ」
「マリィ、自分を好きになれない人間に人を愛することなんてできないよ」
流加はそう言って、悲しそうに笑ったんだ。