素顔のマリィ

「僕とマリィの重ねた年月は?」

「たった数ヶ月だよ」

「数ヶ月?」

「そう、わたし達が一緒にいたのは数ヶ月」

「それは違う」

「何が?」

「僕はマリィといつも一緒にいたよ」

「嘘言わないで」

「嘘なんてついてない」

「ルカはずっとアメリカにいたじゃない」

「離れていても、いつも僕は君のことを想っていたよ」

「またまた……、それはアメリカ流のくどき文句ですか?」

「アメリカ流?」

「そう」

「マリィ、もしかして君は自分に自信がないの?」

「自信?

そんなものあるわけないじゃん。

だって、いつもわたしの大切な人はわたしから離れていく。

きっとそれは、わたしに魅力がないから。

そんなわたしに自信を持て、っていう方が無理でしょ」

「マリィ、自分を好きになれない人間に人を愛することなんてできないよ」

流加はそう言って、悲しそうに笑ったんだ。

< 52 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop