素顔のマリィ
流加との突然の別れに、傷つきボロボロになったわたし。
それでもなんとか三流大学の社会学科に潜りこみ、翌年の春、大学生になった。
卒業と同時に、わたしは長く伸びた黒髪をバサリと切り、緑色に染め上げた。
そして傷ついた心を隠すように、鎧のように化粧をほどこした。
付け睫毛をつけた切れ長の目を黒く縁取り、カラコンを入れた。
白く塗り固めた肌に、真っ赤な口紅。
頬骨に沿ってシャープにチークをのせると、まるでわたしは歩くマネキンのようだった。
入学式、皆が黒いスーツに身を包むなか、わたしは鋲のついた革ジャンに赤いパンツ、黒い編み上げブーツといういでたち。
他の女子より頭一つ高いわたしは、かなり目立っていたと思う。
「なんだアレ?」
そんな囁きが、あちこちから聞こえてきた。
フン、わたしは坂井真理ですけど、なにか?
鎧をつけたわたしは、ある意味怖いもの知らずだった。