素顔のマリィ
昼間の学校では、クラス最前列に陣取って強気の発言で先生に食ってかかったり。
遠巻きに陰口を言うクラスメイトには、「言いたいことがあるならハッキリ言って」と眼を飛ばした。
それでも、人が集まる学校にいる時は気が張っていて、鎧のお陰で心は安らかだった。
一人になると、必ずと言っていいほど流加を思い出して、胸が苦しくなったから。
はっきり振られたなら、泣いて諦めもつくというものだ。
でも、わたしの場合は勝手が違った。
手を伸ばせば掴めたかもしれない幸せを、みすみす逃したのではないかと思い悩み。
好き、の言葉一つも伝えられなかったもどかしさに、流加とのやりとりを思い出しては唇を噛み締めた。
流加が望めば、この身体だって躊躇なく差し出したに違いないのに。
流加を見失ったわたしは、行き場のない思いを、何処へ向けたら良いのかわからなかった。
わたしは夜な夜な流加に抱かれる夢を見て、身悶えた。
そして朝の目覚めとともに現実に引き戻されるのだ。
温もりの感覚は確かに残っているのに、流加はもうここには居ない。
今を受け入れることが辛かった。