素顔のマリィ

見た目が変われば性格も変われる。

つまりは、他人の評価が自分を変えるってこと。

たかが見た目を変えただけで、こんなにも周りの態度が変わることに正直驚いた。

実際のわたしは酷く弱っていた筈なのに、周りには強い女として映っていたわけで。

まさかわたしが処女で、振られた男を思って夜になると一人悶えているなんて誰も思わなかっただろう。

わたしは自分が造った偽の自分、近寄りがたく変わり者の目立つ女を演じ続けた。

入学して暫くたったころ、一人の女子が恐る恐る話しかけてきた。

「あの……、坂井さんだよね。今週の木曜日、学科の親睦会があるんだけど、来られるかな?」

「木曜?行かなきゃ駄目なの?」

「坂井さん以外はみんな出席なの。出来れば出席してもらえると嬉しい」

って、ほんとに?

睨みつけたつもりはないんだけど、何せ化粧すると目力半端ないからね。

彼女は一瞬怯んだように見えたけど、拳を握りしめ、意を決したように一言付け加えた。

「わたし、坂井さんて見た目ほど怖い人じゃないと思うし」

彼女の名前は半田かおり。

人を見た目で判断しない、清い心の持ち主だった。
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