素顔のマリィ
放課後、流加とわたしは児童公園横の原っぱにいた。
いつもと同じ、なんのへんてつもない原っぱを流加はどんどん歩いていって、ある所でぴたっと止まった。
「マリィ、ほら、みてごらん」
地面にしゃがみ込んだ流加の横に、わたしも並んでしゃがみこんだ。
「おととい大雨が降っただろう。昨日からアリ達は引越しに大忙しさ」
蟻達は行きつ戻りつしながら、大きな荷物や小さな荷物を支え合いながら運んでいた。
「どこへ引っ越すの?」
「う〜ん、それが俺にもわからないんだ。だって、この行列、ずっと続いているんだぜ。その謎を解くには、まだ暫くかかりそうだよ」
「面白そう」
わたしは実際、凄くワクワクしていた。
「だろ」
「マリィなら、きっとそう言うと思った」と流加はまたあの人懐っこい笑顔をわたしに向けて言ったんだ。
それから夏中、わたし達の探検ごっこは続いた。