素顔のマリィ

経験豊富なわたしから見ても、山地は相当なテクニシャンだった。

即刻購入!と自信有り気に言ったのも頷けた。

彼の熱が、わたしに対する愛情からくるものなのか。

それとも本能からくるものなのか。

抱かれた温もりから、それを見極めるのは難しい。


「マリ、好きだよ」


わたしの上で果てた彼が、吐いた言葉。

わたしの身体は彼を受け入れたけど、心が受け入れかどうかはわたしにもわからない。

ひとたび抱かれれば、近視眼的な思考に陥り易いのは仕方のないことだと思うし。

何より、人間は本能の動物だし。

「ん、気持ち良かった」

「だろ、即刻購入だな」

「山地?」

「名前で呼べよ」

「ユウスケ、わたしふしだらな女だよ」

「知ってる」

「えぇ〜」

「お前の大学にも友達いるし。お前の噂も耳にした。

けどな、俺は人の噂は信じない主義なんだ。

実際、俺がこの目で見たお前は噂とは全然違う女だったし。

だいたい、俺もお前のこと言えた義理じゃないしな」

「ハハ……、なんとなくわかる」

「だから、結構、俺達お似合いだと思うよ」

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