ぼっちくえすと



やつが近付いてくる。

動けなかった。
罪の意識からだろうか、それとも、ただ単に恐怖からなのか。
……多分、後者だろう。



「震えているね?
でも大丈夫、すぐ分からなくなるよ」



やつは顎をクイッとあげ、君の大好きなやつと耳許で囁き、
キスで口を塞ぎ、何かを胸元に刺した。


「……っう……?」



見ると、胸に包丁が刺さっていた。

さっきのキスは、悲鳴をあげさせないためか、ともうすぐ死ぬ脳内で冷静に思った。


そう意識すると、自然とガクッと全身の力が抜ける。

後はご想像通り、その場でバタンと倒れた。



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