妖恋慕ノ綴リ
「ただいまっ」
いつものように帰ると、おじさんとおばさんが驚いたように振り返った
「…どうしたの?なにか話してた?」
「あ…いやいやそんなことないよ
お帰り、綾芽」
「ちょうど夕飯の支度をするところだったんだよ
明日は綾芽が十六になる日だからね
なにか好きなものを作ってやろうと思ってね」
「え、いいの!?
わたしすっごくお腹好いちゃって、たくさん食べちゃうよ?」
優しいおばさんの声に、ついわがままを言ってしまう
「いいんだよ綾芽
なんでも好きなものを言いなさい」
「おじさんまで…ありがとう!」
「さぁさぁ、それじゃあ綾芽も手伝っておくれ」
「はいっ!」
この時わたしは、満面の笑みで返事をして
このあとの豪華な夕飯を食べて
幸せいっぱいのまま、眠りについた
でも、この時に気づくべきだったのよ
生活は何も変わらないのに
いつもに増して豪華すぎる夕飯
いや、それよりも前
帰ってきたときに感じたあの違和感に