西麟〜~争う彼ら~〜
「明恋ってやたらと面倒なことしたがるな。そのやる気はどう湧いてくるわけ?」
無言の睨みが続く中、全く関係のないような質問が、有の口から放たれた。
「んー…朝ごはんかな」
それに真面目に考えている明恋。
空気が緩んでいくのを感じる。
少しの沈黙を挟み、誠が口を開いた。
「やたらと最近喧嘩が多いな。ついに姫が襲われた…か」
「誠くん物騒なこと言うね~。案外姫が逃げたとか!」
「基本二人の言うことって大雑把だよね」
誠に関しては考えというよりは悟ったって感じだったが。
馬鹿みたいに理由を考え始めた2人を軽くあしらった奈波は、自分の意見を話し始めた。
「やっぱり、原因はお母さんたちの苛々が募ったからだと思うんだ…俺としてはそこに入って…」
所詮奈波だった。
「さっさと統制してくれないもんかねー。南竜」
こればかりは明恋の意見に賛成だ。
だが、それが無理な願望だということは、自分たちが1番実感してきた。
だからあえて手を出そうとも思わない。