クレームの女王
懐中電灯に照らされた
パパの写真が一瞬笑ったように見えた。


「パパ…パパは天国で一人でさびしい?」


祐樹は写真に問いかける。
当然写真は答えるはずもなく無言のまま。


「でもね、だいじょうぶだよパパ。
すぐさびしくなくなる。


すぐさびしくなくなるから
もうすこしがまんしていてね」


その時祐樹は初めて泣いた。


麗華にどんなに突き飛ばされても
泣かなかった祐樹が



仏壇の前で初めて泣いた。


涙は体が痛いときよりも
心が痛いときに出るもの。


ばらばらになった家族を思って
祐樹は今日初めて涙に頬を濡らした。


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