華道~小悪魔年下男子と同居!?~
私と七瀬は場所を変えて
同じ階の奥にある空き教室に入った。
カビの匂い、積み上げられた机たち
卒業生が書いたと思われる名前入りの
らくがき。
その中、私達2人はいつもと違う
空気を漂わせていた。
「…七瀬?」
ずっと俯いてる七瀬に私は声をかける。
でも七瀬は顔を上げることなく
口を開いた。
「…百合、ごめん。私、最低なの。」
「え?」
今から七瀬の発する事にビクビクしながら
震える声で答える。
七瀬、何を私に隠してるの?
「私、涼介の事が好きで、それで
涼介の幼なじみの百合と友達になって
涼介に近づこうと思ったんだ。」
私は七瀬の発した言葉に驚き
目を見開いた
ん?待って。
…ってことは私と仲良くなりたくて
友達になった訳じゃなく、涼介と
仲良くなりたくて私を利用したって事?
唯の言ってた事って、これの事だったんだ
「…なにそれ」
「ほんとごめん!!!だけどね、
だんだん百合と深くなってくにつれて
百合の事が好きになってた。友達に
なれて良かったって思った」
「…涼介とも深くなれたしね。」
良かったじゃん。
「百合、私、これからは百合に隠し事せず
本当の友達になりたいの。だから本当の
目的だった涼介にフられて
断ち切りたい」
七瀬…。
それって涼介関係なく私と
友達になりたいって事だよね?
「私、七瀬の事大好きだよ。
いつもくだらない相談聞いてくれて、
つまんないことでも七瀬となら
面白い事に変わってた。だから、
今、本当の事聞いてショックだったけど
これからだよね。あたしたち。」
「私も同じだよ。だから本当ごめんなさい
これからだよ。百合と一緒にいるために
涼介に告白してくるね」
そう言ってやっと顔を上げた七瀬に
私は笑顔を送った。
でもどうして今、本当のこと
伝えたんだろう。
…もしかして唯のおかげ?
わたしがいろんな事を考え始めてると
七瀬がクスリと笑って、口を開いた。
「あのね、百合。私、例の転入生に
言われたの。
”大丈夫。まだ間に合う” って
私、全部あの転入生に知られてた
んだよね。なんでか分かんないけど。
でもそのおかげで百合に本当の事
伝える事ができたよ。」
…唯だ。
唯は私のために動いてくれたんだ。
あいつに感謝しなきゃ。