鈴姫伝説 SideStory 番外編
「静かに。
みんないい文化祭にしたいんじゃないのか?
ふざけていては、いいのができないぞ」
彼はクラスを静めた。
教室の隅ではしゃいでいた女子は、彼の美貌に虜になり、男子さえも少し顔を赤らめて、当然のことを言われたためか、決まり悪そうに自分たちの仕事場に戻った。
彼はクラスへの報告をすると、教室を出ていった。
「すごいねー、彼」
「うわっ、莉緒!」
気付けば隣に莉緒がいて、彼が出て行ったドアをニヤニヤしながら見つめる。
「もう、本当にいいよね。
すずかちゃんは。
あんなにイケメンな人が彼氏で」
彼氏。
そう言われただけで、頬に熱が集まってしまう。
「あー、ほら赤くなった!」
莉緒はこのこの~とからかってくる。
そのことが耳に入らないくらい、頭の中は千のことでいっぱいになってしまった。
あれから、あたしたちは付き合い出した。
なんか、自然に、そうなっていたんだけど。
実はまだクラスのみんなはあたしたちが付き合っていることを知らない。
知っているとしたら、莉緒だけ。
莉緒と友達になってから、一緒にお昼を食べるようになったんだけど、千と一緒にご飯を食べていたから、三人で食べるように自然となってしまった。