Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
教室には半分以上のクラスメイトがいくつかにかたまってまだ残っていた。
すすり泣く女子や、気が高ぶって怒鳴り合いをする男子、みんなを落ち着かせようとするが、誰も言うことをきかず、結果ヒステリックになるクラス委員長。
そのどれもが青い顔をしていた。
どうやら状況は把握しているらしい。
私は窓際にいる澪の元へと一直線に向かった。
「あおい!」
私に気付いた澪が、涙を浮かべて抱きついてきた。
「ばか! 何ですぐ戻って来なかったのよ! 心配したんだから!」
澪は頬を膨らませてポカポカと胸を叩いてくる。
「ごめんごめん。寝過ぎちゃって」
こんなに心配してくれてたなんてなんだかくすぐったい。
やっぱり持つべきものは親友だな。なんて思ってしまう。
「よかった。無事だったか」
澪の隣にいた武志も安堵の表情を浮かべ、
「おい! 純也! 幸希! あおいが戻って来たぞ」
と、掃除用具入れの前いた二人に声をかけた。
「あいつら、これからあおいを助けに行こうとしてたんだ」
「えっ!? 私を……」
箒とチリトリで武装した二人はキョトンとした顔で私を確認すると、慌ててこちらへ駆け寄ってきた。
「おい、武志! 余計なこと言ってんじゃねえよ。俺は逃げ道を探しに行こうとしてただけだ!」
しかし、純也はそう言ってそっぽを向いてしまう。
「何言ってんだよ、いちいち照れることかよ。──それよりあおい、無事でよかったな」
幸希は笑顔で喜んでくれている。
対照的な二人だけど、こんな状況下で助けにこようとしてくれたのはとても嬉しかった。
「二人ともありがとう」
素直にお礼を言うと、幸希は「おう!」と親指を立てて、純也は「別に」
とそっぽを向いたままで返事を返してくる。