Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

えっ!?


目線が急激に上昇する。


そして、


「……せんぱい」


私の身体は柏木先輩の腕の中にすっぽりと収まっていた。


しかも、


「抜けられたの?」


そこはすでに施設の中だった。


助かった……。


けど、小百合が。


すぐに思いだして人混みに目を向けると、


「おああっ!」


力ずくで人を押し分け純也が現れる。その傍らには。


「ううっ……」


涙目の小百合。


小百合は純也に片手で荷物のように持たれていた。


最後に紫音先輩は、


「純也くんの背中、微動だもしなかったわね」


と、純也の腰をポンと叩いて真後ろから平然と現れる。


よかった。みんな無事だ。


あらためて辺りを見回して気付く。


あちこちで叫声が上がっている。施設内にもゾンビが進入しているのだ。


そのせいで外へ逃げようとする人と中へ入ろうとする人が入り乱れているのが入り口の混乱に拍車を掛けていたのだ。


中も危険は変わらない。

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