Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

柏木先輩はすでに、みんなを守るように数歩前で身構えている。


すぐに移動しようと、暗黙でみんなが動き出す。


すると、


「ちょっと待ってくれ」


純也が待ったをかけ、


「はっ! 純也くん!?」


何事かとおろおろする小百合を、背中に回しおんぶして立ち上がる。


「こいつはもう歩けねえ。朝から無理してやがったんだ」


そう言って目線を落とした先には、真っ赤に腫れ上がった小百合の膝があった。
相当痛むはずだ。


「小百合……」


「ごめんなさい……でも、もう足手まといになりたくなくて……」


「なに言ってるのよ」


「まったくだ。軽すぎるくせに、くだらねえこと気にすんな」


意味は不明だけど、純也なりのやさしさが伝わってくる言葉だった。


その証拠に小百合は、頬をピンク色に染めていた。


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