Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「定員オーバーだ!」
「そんなっ!」
「おいっ! ふざけんな!」
純也が隊員につかみかかる。
だけど、見れば、確かに自衛隊員の後ろは人で埋め尽くされていた。しかもほとんどが怪我人や子供で、折り重なるように無理矢理詰め込まれた状態。
さらに、純也の剣幕に何人かの子供が泣き出している。
代わりに乗せて欲しいなんて言える訳がない。
「すまない……」
自衛隊員が顔を伏せる。
最悪だった。
ここまで、必死で逃げてきたのに。
ヘリは目の前にいるのに。乗ることが出来ないなんて……。
一瞬でも避難できると思ってしまった私の身体は、急激な脱力感に見舞われる。
けど、諦めていない人物が一人だけいた。
「待ってくれ!」
純也だ。
「こいつは怪我人なんだ! せめてこいつだけでも!」
純也は背中の小百合を投げるように強引にヘリに押し込んだ。
「きゃっ!」
「き、きみっ!」
自衛隊員は、眉をしかめながらも小百合をしっかりと抱き留めていた。