Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~







────その時だった。











突如、小百合を支えていたはずの自衛隊員が、機外に躍り出たのだ。


叫びを上げ、空をもがきながら真っ逆さまに落下してくる。


な、なんなの!



グシャッ────。


隊員は鈍い音を立てて、地上に激突した。
目の前に飛び散る鮮血。


手足が関節を無視して折れ曲がる。
さらに、顔がナニカに抉りとられたように半分なくなっている。


「いやああああっ!」


追い打ちをかけるように、上空から降り注ぐ悲鳴。


「小百合っ!」


再び見上げるとそこには、小百合の首に顔を埋める大きな影が……。


「なんで、なんでゾンビが!」


「……冗談、だろ」


ヘリはガクンと縦に一度揺れると、速度を増し急旋回しながら斜めに移動していく。


「おい、やめろ! やめてくれ!」


純也が頭を抱えて膝をつく。


ドン! 


激しい爆発音と衝撃が競技場に木霊する。


炎が舞い上がり、観客席が崩れていく。













────小百合を乗せたヘリは墜落した。




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