Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「さて、あおいも揃ったところで、これからどうするか考えるか」
5人で澪の机を囲むように座り一息つくと、武志がそう提案する。
「ちょっと待って、私寝てたからなんでこんなことになったのか知らないの」
武志の言葉を遮ると、みんな心なしか俯いてしまう。
何があったんだろうか……。
「私達にもよくわからないの……」
澪が辛そうに口を開く。
「突然校庭から悲鳴が聞こえてきて、見たら体育中の生徒がゾンビみたいな化物に襲われてたの。先生達が助けに行ったけどみんなやられちゃって、逃げ出したみんなもどんどん殺されてる……」
「警察は?」
「何度もかけたけど、電話はつながらない」
武志が悔しそうに唇をかみしめる。
「そう……」
結局分かっているのは、澪達も私とほとんど同じだった。
突然学校にゾンビが現れて、みんなを襲っているということだけ。
視線を窓の外に向けると、校庭では玄関から私が見た光景と同じものが広がっていた。
血の海を逃げまどう生徒達。
それを追い喰らう死人、ゾンビの群……。
そして、その向こう、学校の外ではあちこちで煙が上がり、パトカーだか救急車だかのサイレンも遠くに響いていた。
それは学校の外も同じ状況なのだということを物語るには十分なものだった。
警察も先生もいない。
誰も助けてはくれない……。
私たちはこれからどうすればいいのか、自分達で考えるしかないのだ。
かと言って、すぐにいい考えが思い浮かぶ訳もなくしばらく沈黙が続いた。
と、突然、教室の前の方から誰かが声を上げた。
「みんな、テレビを見ろ! ここの、浦高市のことがやってるぞ!」
「!?」
その声にすぐに反応した武志が、机の上に携帯を置きワンセグをつける。
ザッと一瞬画面が乱れた後、映ったアナウンサーが、真剣な表情でニュースを読み上げていた。