Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~


この時、私は真後ろに迫るゾンビに気付いていなかった。


「ひっ!」


走り込んできたゾンビが飛びかかってくる。


私はゾンビの手が触れた瞬間、反射的に身を退いた。
が、避けきれずゾンビの体当たりで、勢いそのままに地面を転がる。


体中を鋭い衝撃が貫く。


「がはっ」


すぐに立ち上がろうと足に力を込めたけど、痺れて起きあがることができない。


そんな……。


ふと、私の身体を影が覆った。


いやだ……。


首だけ起こして見上げると、そこには……。


「ヴヴッ!」

「ヅ、アア」


片目が飛び出し、耳を失った男性、そして内蔵がはみ出した女性の姿があった。


────いやっ! 


「いやあああっ!」


ゾンビの血塗れの顔が目前に迫ってくる。


重い腕を叱咤し、顔を隠す。


いやだ! 死にたくない! 




「あおいーーっっ!」


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