Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「あそこが手薄だ」
「はい」
大勢が入り乱れる中、互いに庇い合い進んだ。
転んだ人にすがりつかれ、ずっと履いていた上履きは脱げてしまった。
先輩に噛みつきそうなゾンビに体当たりもした。
取っ組み合いをする暴徒と自衛隊員に巻き込まれ、倒れた時は頭を打ち付ける前に先輩が抱き止めてくれた。
どれだけ走っただろう。
やっと、やっとだ。
ようやくバリケードの目前まで来ることができた。
「もう少しだ」
「はい」
ボロボロの顔を見合わせ、頷き合った。
と、────その時だった。
ダダダダダッと連続的な発砲音。
「あっはははは! 死ね! 死ね死ね死ね!」
「きゃああ!」
「や、やめてく──ぐあっ」
続いて上がる奇声と悲鳴。
ゾンビも人も倒れていく。