Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~

「先輩! あの、私と一緒にいた先輩は!」


痛みを堪えて上半身を起こす。


「先輩?」


「そうです! 顔が綺麗で、細いんだけど筋肉質で、無表情で、えっと────、柏木雅っていう高校生です!」


一気にまくし立てると、看護士さんは一瞬ポカンとしていたが、


「落ち着いて」


と、やさしく私の身体を元に戻した。


「あなたが、身体中打ち身や怪我だらけで、ここに運ばれてきたのは3日前よ」


「3日!? そんなに眠ってたんですか」


「そうよ。だからあまり無理しないで」


「……はい」


「それから、あなたがここに運ばれてきた時は一人だったわ」


「えっ!? そんな、もう一人いたはずです! 柏木先輩が! 最後まで……私を、守って……」


────私が最後に見た先輩は、全身血だらけだった。


病院に搬送されなかったということは……。


いいや、なにかの間違いだ。


だってあんなに強い先輩が、死んでしまうなんて、そんなの。





そんなの…………。


…………………。



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