Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
廊下を埋め尽くすほどのゾンビの群。
「やめろーー! ……うわあっ!」
「痛てええええ!」
「きゃああああっっ!」
怪我をして動きの鈍い生徒達が次々に襲われていく。
「幸希! 武志と純也は?」
「逃げ道! そっちの階段を見に行った!」
青ざめた澪が訪ねると、幸希は東階段の方を指さし、そのまま通り過ぎていく。
澪がそれに続き、私達も続こうとした────が、
「──あうっ」
慌てたせいか、小百合が足に力が入らずにガクッと体勢を崩してしまった。
肩を貸していた私と明美は、必然的にそれに引っ張られて、三人一緒に転倒してしまう。
「きゃっ!」
辛うじて自分の受け身は取れた。
けど、小百合は……。
「大丈夫?」
「……う、うん」
返事はするものの、顔が真っ青で大量の汗をかいている。
……相当痛いんだ。
でも、はやく逃げなくちゃ。
まだ教室からは、一歩しか出ていない。
「がんばって、小百合」
急いで小百合の腕を肩に回して、もう一度立ち上がろうとした。
けど、持ち上がらない……。
理由はすぐに分かった。
反対側で支えているはずの明美が、すでに立ち上がっていたのだ。
親友であるはずの小百合に手を差し伸べることなく……。
…………一人で。