Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
…………ポタ……ポタ……。
背中に冷りとした感触が広がる。
たぶん、無くなった腕の付け根から零れてくる血液。
「……」
僅か数秒が何十分にも感じられた……。
しかし、その甲斐あって、腕のないゾンビは遠ざかる明美の叫び声と走る靴音に吸い寄せられるように後を追い始めた。
……やっぱり、眼はよく見えていないんだ。
なんとかやり過ごせた。
けど、まだ沢山のゾンビがそこかしこで逃げ遅れた同級生を貪っている。
囲まれる前に、ここから逃げなくては……。
それには、小百合が歩く為の支えが必要だ。非力な私一人では無理だ。
すぐに思い浮かんだのは、さっき純也と幸希が武器代わりに持っていた柄の部分が長い掃き箒だ。
杖代わりになる箒があれば、それと私を支えに小百合も歩けるはず。
私はそっと立ち上がり、静かに足を踏み出した。
すると──────。