Summer of the Dead ~サマー・オブ・ザ・デッド~
「私は大丈夫、それより小百合をおんぶして!」
「はっ!? おんぶ?」
間髪入れずに言った言葉に純也はポカンとしている。
「いいから、はやく! 怪我してるのよ」
助けてもらっといて偉そうだとは思うけど、ぐずぐずしていたらもとのもくあみだから。
今はとにかく一秒でも早く逃げること。
力のある純也に頼るしかない。
「はやくしゃがむ!」
キッと睨むと、純也はブツブツ言いながらも小百合を背負ってくれる。
急に動かすと小百合が痛がったけど、純也は、
「なんだ? 軽いなお前。ちゃんと飯食ってんのか?」
と、見当違いな心配をしている。
私はこんな時なのに、なんだかおかしくて、フッと笑ってしまった。
きっと緊張のせいで、強張った体を脳がほぐしたかったのかもしれない。
「なに笑ってんだ、あおい……。状況わかってんのか? あっ! もしかして恐怖で頭おかしくなっちまったのか?」
「そんなわけないでしょ! さあ、行きましょ!」
再び迫りつつあるゾンビを振り切るべく、私達は東階段に向けて走り出した。